『
ベロニカは死ぬことにした』@恵比寿ガーデンシネマ1
2005年製作/日本/106分/R-15
2006年2月4日公開
監 督:堀江慶
脚 本:筒井ともみ
原 作:パウロ・コエーリョ「ベロニカは死ぬことにした 」
音 楽:アンドレア・モリコーネ
主題歌:nangi「こんな風に笑う。」
製作:フィルム・コミッティ・ベロニカ(イマギネ/角川映画/東京映像工房)
配給:角川映画
出 演:真木よう子/イ・ワン/風吹ジュン/中嶋朋子/荻野目慶子
/多岐川裕美/淡路恵子/市村正親
女性の視点からだと全く印象違うんだろうな。
非日常であるサナトリウムの空気感、透明感のある映像が美しい。冒頭では寄りの画を多用して周りを全く見ることができない主人公トワを描写し、物語が進むに従いキャメラが少しずつ引き出して周囲を捉え始める。絶望しすべてを拒絶していたトワが次第にゆっくりと心を開放してゆくさまをうまく表現できている。全体的に静かな映画。良くも悪くも舞台演劇的な演出。音楽は少々大仰だがアクセントを与えている。
ネタバレあり。
しかし、せっかく構築された空気感(ロケハン、美術の力も大きい)だが、シーンそれぞれがぶつ切りでテンポが悪いため台無し。原作小説の雰囲気を単純に映像化したかっただけなのだろうか。それで満足しちゃダメ。先の読めてしまうストーリー展開、説明的なセリフ回しが気になった。もっと視覚的に押せたはずだよ。冒頭のシーンは素晴らしいのにどうしてこうなってしまうのだろう。院内の心に傷を抱えている人々も言葉尻でしか表現できていない(キャラ立ってるのに)。余命宣告による絶望感(喚かせているだけ)、クロードになぜ魅かれたのかもまったく伝わってこないんだよな。「どうせ死ぬんだから若い彼でいいや誰でも良かったのよ」としか受け取れないのです。それって違うでしょ。
真木よう子は注目している女優さんのひとり。初主演作だけに力入っていた。気負いすぎてトワをあまり掴みきれていない印象なのは止むを得ないとして、クライマックスの体当たり演技に圧倒される。完璧なプロポーションにも言葉を失う。あのマスターベーションシーンはホント綺麗でした。中嶋朋子の生々しさとのコントラストがまた…ね。後世に語り継がれるべき名シーンになるんじゃない?でもここまでにしときゃいいのに直後のあの水が噴出す蛇口のインサート映像はナニ?ギャグ?そのあとの海辺での絡みも余計。あっさりぶち壊してるよ。今回一線を越えてしまった彼女だが、あまり話題になってないような。あえてこちら路線の露出は控えてるのかな。まさかそうくるとは予想してなかったのでみてはいけないようなうれしい誤算(…失礼)。まだまだこれからの女優さんなので頑張って欲しい。『東京フレンズ』では良い味だしてたんだけど。微妙な作品だけど、彼女は良い。
クロード役をナゼ韓国人にしたのでしょう。無理から韓流ブームに乗っかろうとしてる様であざといよ。今さらだし。それほど良い役者とも思えんし。
市村正親、風吹ジュン、中嶋朋子の存在感は見事としか言い様がない。それだけにモッタイナイ気もした。
あ、神戸ちゃんも別の意味で目立ってました。患者じゃないのにね。
今年はまだ満足できる作品に出会えてないな。